死刑判決から10年後の2002年10月9日午前9時47分、アイリーン・ウォーノスはフロリダ州刑務所で薬物注射により刑を執行された。全米に衝撃を与えた“モンスター”と呼ばれた女性殺人犯は、46歳でその壮絶な人生に終止符をうった。

「私はキリストと船に乗って旅立ち、再び地上に現れる。……私は必ず戻ってくる」。予言めいた言葉を残し、アイリーンは死の瞬間を迎え入れた。その予言通りというべきか、2本の映画の主役として復活した彼女は、再び世間に衝撃を与えることとなる。

その1本が、現在公開中の話題作「モンスター」である。アカデミー賞で最優秀女優賞を獲得したシャーリーズ・セロンの見事な演技は、まるでアイリーンがセロンの体を借りて蘇ったかのごとく、真に迫っている。

そしてもう1本の映画が、この「シリアル・キラー アイリーン」である。英BBCなどで活躍しているドキュメンタリー作家ニック・ブルームフィールドが、アイリーン・ウォーノスの逮捕から死刑執行までを追った渾身のドキュメンタリーだ。

「モンスター」全米公開後の2004年1月に同じく全米公開された本作。「心を動かされ、感動した」(タイム・アウト誌)、「素晴らしい。類まれなドキュメンタリー!」(ザ・タイムズ誌)、「シンプルで悲劇的、そして感動的なドキュメンタリー」(ザ・ガーディアン誌)など、特に批評家筋から高い評価を受ける。本作は、アムステルダム国際映画祭(2003)、トライベッカ映画祭(2004)で、それぞれ最優秀ドキュメンタリー賞も受賞している。

「私はこの社会に殺されるんだ」。死刑前日のインタビューで、アイリーンは怒りをあらわに叫ぶ。幼少の頃から性的虐待とレイプを受け、14歳で家族や社会からドロップアウトし、街の片隅で売春婦として生き続けたアイリーン。彼女を連続殺人に駆り立てたものは何だったのか。彼女は本当に死刑に処されるべき怪物だったのか。そして今、アイリーン・ウォーノスの生と死が再びクローズアップされているのはなぜなのか。ニック・ブルームフィールドは、数回にわたりアイリーン本人に単独インタビューを行い事件の核心に迫るとともに、“モンスター”を生み出した米国社会、歪んだ司法制度を鋭く告発する。この映画には、「モンスター」では描かれなかったアイリーン・ウォーノス事件の真実が映し出されている。特に、「モンスター」をご覧になった人は必見のドキュメンタリーである!